• ネストクラス
• メンバー･クラス
• ローカル･クラス
• ローカル･インナークラス
• 匿名インナークラス
• 実習

■ネストクラス

• クラスの内部に定義するクラスを、ネスト･クラスといいます。とくに、static がついていないネスト･クラスをインナー･クラスといいます。

• ネスト･クラスは、以下のようなときに使います。
  • クラスのメンバーに直接アクセスできるクラスを定義(トップレベル･クラスの private フィールドにも、アクセスできる)
  • クラス間の関連が強く、そのことを明確にする
  • 局所的にクラスを使用
  • 外部のクラスからのアクセス制限

• インナークラスの制限事項です。
  • 外部クラスと同じクラス名をつけれません。
  • 静的初期化子や、メンバー･インターフェースを定義できません。
  • 定数以外のクラス・フィールドを定義できません。
  • クラス・メソッドを定義できません。

• ネスト･クラスを分類すると、以下の表のようになります。

  	static つき	static なし	名前 つき	名前 なし
  メンバー・クラス	static なメンバー・クラス	インナー･クラス	-	-
  ローカル・クラス	-	-	ローカル･インナー･クラス	匿名インナー･クラス

• ネスト･クラスの定義例です。

  
   public class Outer {                                // トップレベル･クラス
       static class Inner1 { ... }          // static なメンバー・クラス
       class Inner2 { ... }                  // メンバー･インナー･クラス
       void m1() {
           class Inner3 { ... }              // ローカル・インナー･クラス
           new Thread(new Runnable() {        // 匿名インナー･クラス
                        public static void run() { ... } 
                     }).start();
       }
   }
  
  

■メンバー･クラス

• 外側のクラスのメンバーになるクラスです。

• つぎの修飾子をつけることができます。
  • アクセス修飾子 ... public, protected, private
  • その他の修飾子 ... static, abstract, final

• static なメンバー・クラスは、実質的にトップレベル･クラスと同じです。

• メンバー･インターフェースも宣言できますが、これは、static がついているものとみなします。

• つぎのように、オブジェクトを生成します。

 public class Outer {                                // トップレベル･クラス
     static void m1() { ... }
     void m2() { ... }
     static class Inner1 { ... }          // static なメンバー・クラス
     class Inner2 { ... }                  // メンバー･インナー･クラス
 
     static void m3() {                       // クラス･メソッドから
         m1();
         new Outer().m2();
         Inner1 i11 = new Inner1();           // そのままオブジェクトを生成
         Inner2 i12 = new Outer().new Inner2(); 
                           // トップレベル･クラスのオブジェクトを生成してから
                           // メンバー･インナー･クラスのオブジェクトを生成
     }
 
     void m4() {                              // インスタンス･メソッドから
         m1();
         m2();
         Inner1 i01 = new Inner1();           // そのままオブジェクトを生成
         Inner2 i02 = new Inner2();           // そのままオブジェクトを生成
     }
 }
 


 public class MyClass {                              // 別クラスから
     public static void main(String[] args) {
         Outer.m1();
         new Outer().m2();
         Outer.Inner1 i21 = new Outer.Inner1(); 
                           // トップレベル･クラス名で修飾して、オブジェクトを生成
         Outer.Inner2 i22 = new Outer().new Inner2(); 
                           // トップレベル･クラスのオブジェクトを生成してから
                           // メンバー･インナー･クラスのオブジェクトを生成
     }
 }

• メンバー･クラスをコンパイルすると、クラス・ファイル名は、"トップレベル･クラス$メンバー･クラス.class" になります。

■ローカル･クラス

• ローカル･クラスは、メソッドの内部で定義するネスト･クラスをいいます。

• とくに、クラス名を宣言しないローカル･インナークラスを、匿名インナークラスといいます。

• ローカル･クラスの有効範囲は、定義されているメソッドのブロック内だけです。したがって、外側のクラスから参照したい場合、メンバー･クラスとして作る必要があります。

■ローカル･インナークラス

• 外側のメソッドの変数で、ローカル･インナークラスからアクセスできるのは、メソッドのfinal引数やfinalローカル変数のみです。つぎに、参照できる変数の例をあげます。

  
   public class Outer {
       public int a = 1;
       private int b = 2;
       static int c = 3;
       public void m1(final int d, int e) {
           final int f = 6;
           int g = 7;
           class Inner {
               void m2(final int h, int i) {
                   // 
                   // ここから使える変数: a, b, c ... クラスのフィールド
                   //                     d, f ... final 変数
                   //                     h, i ... 自クラス内の 変数
               }
           }
       }
       public static void main(String[] args) {
           Outer a = new Outer();
           a.m1(4, 5);
       }
   }
  
  

■匿名インナークラス

• クラス名を宣言しないローカル･インナークラスを、匿名インナークラスや、匿名ローカル・インナークラスといいます。

• これは、イベント処理を定義するときなどに、よく使われます。

• 匿名インナークラスは、つぎのように定義します。

    new スーパークラス名() { ... }      // スーパークラスを継承したサブクラス
    new インターフェース名() { ... }    // インターフェースを実装したクラス
  

• 匿名インナークラスの制限事項です。
  • 初期化処理を行いたい場合、インスタンス初期化子をつかいます。これは、クラス名がないので、コンストラクターを宣言できないからです。
  • サブクラスを作れません。
  • 抽象クラスになれません。

• 匿名インナークラスをコンパイルすると、クラス・ファイル名は、"トップレベル･クラス$連番.class" になります。

■実習